濵田暁彦医師 コラム No.98
2020/04/20(与謝野町くすぐるカード会発行「くすぐる vol.232」2020年5月号掲載)

「新型コロナ感染症」〜その2:「パンデミックの歴史と消毒法」


現在、新型コロナウイルス感染症が世界的に広がり「パンデミック」の状況です。日本でも全国に緊急事態宣言が拡大されるなど収束の兆しはまだ見えません。アメリカのハーバード大学が発表した今後の感染者の推移予測では、外出規制を1回のみで解除しても再び第2波が来ると予想され、医療崩壊を来さないためには数回に渡って断続的に外出規制を行う必要があるとしています。今後2から4年間(2022から2024年頃まで)はウイルスの流行が続き、最終的に人口の大半が感染し「集団免疫」を獲得することで収束すると見られています。
 これまでの人類の歴史はパンデミック=病原菌との戦いの歴史でもありました。中世ヨーロッパでは幾度もペストのパンデミックにより人口の50-60%が死亡する事態が起きています。それまで他の大陸との交流がなかったアメリカ大陸に新しくヨーロッパから持ち込まれた様々な感染症(天然痘・ペスト・コレラ・チフスなど)により、それらに免疫のなかった中南米のアステカ文明・インカ文明は滅亡したのでした。20世紀には3回のインフルエンザパンデミックが起こっています。1918年に始まった「スペイン風邪」と呼ばれるH1N1型インフルエンザでは、当時の世界人口約20億人のうち4分の1の5億人が感染し、その内5000万人が亡くなったとされています。2回目は1957年に始まったアジアインフルエンザ、3回目は1968年に始まった香港インフルエンザです。21世紀に入ってからも2009年に豚インフルエンザが変異してヒトに感染しパンデミックを引き起こしました。1918年のスペインインフルエンザの致死率は2.5%以上でしたが、その後のインフルエンザの致死率は0.1-1.5%程度で今回の新型コロナ(約2%)よりも低く、今回の新型コロナ感染症は1918年のスペイン風邪以降で最も致死率の高い世界的なパンデミックと言えるでしょう。
 
 さて皆さんは、コロナウイルス対策として手洗い、マスク、3つの密を避ける行動を心がけていることと思いますが、いくつか注意点を挙げたいと思います。1つ目は新型コロナウイルスの消毒方法です。手指消毒にはアルコールが有効で、30%のエタノールに30秒暴露すると失活するという論文が最近発表されました。30%以下のエタノールでは効果が薄くなるため、使用する消毒液のエタノール濃度は一度確認してみましょう。また人体以外のドアノブや手すりなど物の表面の消毒には「ハイター」などの消毒・漂白剤成分「次亜塩素酸ナトリウム」を薄めた液で拭くことが有効です。5%の原液だと水500mlにペットボトルキャップの半分=約2mlを入れると0.02%の希釈液ができます。直接手で触らないように手袋などをしてこの液で拭くと良いでしょう。また食器や箸などは80℃の熱湯に10分間さらすと消毒ができます。
 2つ目は「手洗いの方法」です。感染症学会の論文によると、ただ水で手をすすぎ洗いするだけでもウイルスの量は100分の1(1%)に減少するのですが、石鹸で10秒もみ洗いをした後ですすぎ洗い(15秒)をするとウイルスは1万分の1(0.01%)にまで減少し、さらにこの10秒石鹸+15秒すすぎ洗いを2回繰り返すと100万分の1(0.0001%)にまで減少することが示されています。手洗いは石鹸をよく泡だてて、手の平だけでなく、手の甲も洗い、さらに指先や指の間、親指の根元、手首まで洗うようにし、できればこれを2回繰り返すことを習慣づけましょう。  

執筆
濵田 暁彦

1974年京都府宮津市生まれ。1993年宮津高校卒業。1年間浪人生活を京都駿台予備校で送り翌年京都大学医学部入学。2000年京都大学医学部卒業後、京都大学医学部附属病院内科研修を1年行う。2001年京都桂病院内科に研修医として赴任。2002年京都桂病院消化器内科医員となり、2007年同副医長。2010年故郷である丹後中央病院消化器内科部長として赴任。現在丹後中央病院消化器内科主任部長兼内視鏡室室長、他に京都大学医学部臨床講師(2015年〜)、宮津武田病院非常勤を務める。モットーは「楽な胃カメラ」「痛くない大腸カメラ」。早期癌の診断治療(拡大内視鏡・食道胃大腸ESD)、胆膵管内視鏡ERCP、超音波内視鏡EUS、EUS-FNA等が専門。機能性胃腸症:FDや過敏性腸症候群:IBS、便秘などで苦しむ患者さんの治療や、様々な不定愁訴に対しても西洋医学(総合内科)と漢方医学を融合させた医療を実践中。また老衰や認知症に伴う肺炎などの終末期患者さんの看取りや、各種がんの終末期緩和ケア&看取りをこれまで多くの患者さんに行い、安らかな最期を迎えられるようチーム医療で取り組んでいる。

所属学会・認定医、専門医
日本内科学会総合内科専門医、日本消化器病学会専門医、日本消化器内視鏡学会指導医・専門医、日本ヘリコバクター学会認定医、日本膵臓学会、日本胆道学会、日本臨床細胞学会、日本食道学会、日本肝臓学会、日本腹部救急医学会、日本時間生物学会、日本臨床腸内微生物学会、日本東洋医学会