濵田暁彦医師 コラム No.94
2019/12/15(与謝野町くすぐるカード会発行「くすぐる vol.228」2020年1月号掲載)

「2020年(子年)謹賀新年〜『SDGs』=10年後の世界目標とは?〜」


いよいよオリンピックイヤーの年明けとなりました。2019年は振り返るととても出来事の多い慌ただしい年だったように感じます。今年の漢字は「令」となりましたが、5月に天皇が交代され新しい元号「令」和になっただけでなく、消費増税などの法「令」改正、芸能人の闇営業や薬物使用逮捕など法「令」遵守、10月12日の台風19号とその前後の千葉県の豪雨災害など度重なる避難勧告発「令」などもこの字が選ばれた理由に挙げられています。その他にも繰り返される児童虐待や児童殺害(5月28日:川崎児童殺傷事件など)、7月18日の京都アニメーション放火殺人事件、世界では香港の民主化デモ、12月4日アフガニスタンでのNGOペシャワール会代表・中村哲医師銃撃殺害など不穏なニュースが相次ぎました。

 これらの痛ましい事件の根底にあるのは貧困・社会の不平等・そして地球温暖化による異常気象などです。逆に嬉しいニュースとしては何と言っても9月-10月のラグビーW杯日本大会で初の8強入りを果たした日本代表チームの活躍ぶりでしょう。若手やベテラン、多国籍の選手が団結するチームのスローガン「ONE TEAM(ワンチーム)」は今年の流行語大賞にも選ばれました。
 まさにこの言葉は今後の世界の目標とすべき言葉だと思います。人・物・情報の移動・流通・通信の国際的な開放は「グローバル化」と呼ばれますが、今後ますますその流れは速く強くなり各国の交流と相互依存が重要になって来ます。
 また世界中で長寿化が進み「人生100年時代」の到来が予測されており、社会の枠組みが根底から変わろうとしています。これまでの年功序列制度は崩れ、地理的なグローバル化と共に年代間の交流と相互依存もこれまで以上に活発になるでしょう。

 人生100年時代の到来は少子高齢化問題を保育無料化だけでは解決できません。女性労働者差別・若者の貧困と晩婚化の問題や、従来の定年制・年金制度の改定や非正規・正規労働者の同一労働同一賃金制、パワハラ防止の法制化など様々な「働き方改革」と密接に関わっています。今年になって「SDGs」=sustainable Development Goals: 持続可能な17の開発目標という標語が取り沙汰されるようになって来ましたが、これは2015年に国連サミットで採択されたもので、世界中の国々=貧困国も発展途上国も先進国も全ての国々が一致団結して2030年までに人々の生活と地球環境を未来に安心してつないで行くことができるように掲げた共通目標です。
 この17の目標の中には、貧困飢餓を無くし健康と衛生と教育が行き渡ることを始め、責任を持った消費と生産、クリーンなエネルギー、働きがいがあり格差のない経済と社会、そして海陸の豊かさと温暖化などの地球規模の気象変動への対策が盛り込まれており、日本でも大企業を始めこのSDGsの理念を実行に移す企業が増加しています。これは目先の自社利益だけを考えて有害物質を放出する様な企業活動は、地球温暖化→豪雨と言った喫緊の環境問題を引き起こし、結局は回り回って自分たちのコストやリスクを増大させ不利益を被る連鎖を引き起こすことを理解し始めているからです。

 皆さんも初期投資がやや高くても、燃費の良いハイブリッド自動車や電気代の安いLED、低電力家電などが環境への配慮と共に自分自身への利益にもつながることを実感していると思います。そうすることが希望ある未来への持続可能な地球環境を作る「SDGs」への小さな一歩となることに私たち一人一人も気づき始めているのです。
 2020年も明るい未来を作るために世界中の人々と「ワンチーム」となって「SDGs=人類と地球が今後も存続してゆけるための達成目標」を目指した生活を送って行きましょう!


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参考)
リンダ・グラットン、アンドリュー・スコット
   「ライフシフト・100年時代の人生戦略」(東洋経済新報社)
落合陽一
   「2030年の世界地図帳 あたらしい経済とSDGs、未来への展望」(SBクリエイティブ)
橘玲
   「働き方2.0vs4.0 不条理な会社人生から自由になれる」(PHP研究所)


執筆
濵田 暁彦

1974年京都府宮津市生まれ。1993年宮津高校卒業。1年間浪人生活を京都駿台予備校で送り翌年京都大学医学部入学。2000年京都大学医学部卒業後、京都大学医学部附属病院内科研修を1年行う。2001年京都桂病院内科に研修医として赴任。2002年京都桂病院消化器内科医員となり、2007年同副医長。2010年故郷である丹後中央病院消化器内科部長として赴任。現在丹後中央病院消化器内科主任部長兼内視鏡室室長、他に京都大学医学部臨床講師(2015年〜)、宮津武田病院非常勤を務める。モットーは「楽な胃カメラ」「痛くない大腸カメラ」。早期癌の診断治療(拡大内視鏡・食道胃大腸ESD)、胆膵管内視鏡ERCP、超音波内視鏡EUS、EUS-FNA等が専門。機能性胃腸症:FDや過敏性腸症候群:IBS、便秘などで苦しむ患者さんの治療や、様々な不定愁訴に対しても西洋医学(総合内科)と漢方医学を融合させた医療を実践中。また老衰や認知症に伴う肺炎などの終末期患者さんの看取りや、各種がんの終末期緩和ケア&看取りをこれまで多くの患者さんに行い、安らかな最期を迎えられるようチーム医療で取り組んでいる。

所属学会・認定医、専門医
日本内科学会総合内科専門医、日本消化器病学会専門医、日本消化器内視鏡学会指導医・専門医、日本ヘリコバクター学会認定医、日本膵臓学会、日本胆道学会、日本臨床細胞学会、日本食道学会、日本肝臓学会、日本腹部救急医学会、日本時間生物学会、日本臨床腸内微生物学会、日本東洋医学会