濵田暁彦医師 コラム No.79
2018/09/20(与謝野町くすぐるカード会発行「くすぐる vol.214」2018年10月号を改訂)

「がんとは何か?」-その12-がんの検査法は?

前回お話したようにがんの検査法にはいつくかありますが、1つの検査で全てのがんを見つけることはできません。腫瘍マーカーは採血だけで簡単ですが残念ながらがんがあるかどうかやどこにがんがあるかを確定することはできません。がんの有無を確かめるには画像検査で「ここにがんがある」ということを目で見える形に映し出さなくてはいけません。

 検査は患者さんの体への負担や費用の大きさを考えながら負担の少ないものから進めて行きます。
 まず胸部レントゲン検査や腹部超音波(エコー)検査が最も負担の少ない検査で、レントゲンではある程度大きな肺がんが、エコーでは肝臓がん、腎臓がんなどが見つけられます。エコーの長所は細かな所までリアルタイムに観察できることですが、短所は空気があると見えなくなるため肺や腸が邪魔をする場所は見えないことです。

 次はCT検査ですが、CTはエコーほど細かい所までは見えませんが、一度に広い範囲を撮影できて見えない部分がありません。胸部CTでは小さな肺がんまで見つけることが出来ます。腹部CTでは造影剤を使うと内臓の中まできれいに映し出されるため、アレルギーや腎不全が無ければ造影剤を使うとより効果的です。腹部CTでは、肝臓、膵臓、胆嚢、腎臓、子宮や卵巣などのがんが見つけやすくなります。
 女性特有の乳がんはマンモグラフィーや乳腺エコーを、子宮・卵巣がんなら経膣エコーを行うとより良いでしょう。
 
 更に胃がんや大腸がんはCTでも見つけにくいのですが、胃カメラや大腸カメラといった内視鏡検査を行うと非常に早期のものまで見つけることができます。
 がんがあることが画像でわかれば可能な限り細胞を採取してがん細胞であることを確かめる病理組織診断または細胞診断を行います。子宮頸がんや肺がんなどは子宮頸部をこすったり、喀痰の中の細胞を顕微鏡で見ることにより小さながんを見つけることも可能です。
 胃カメラや大腸カメラではがんらしき部分の細胞をつまみ取る「生検」を行ってがん細胞が確認されれば非常に早期の粘膜内がんならば内視鏡で切除することも可能です。

 最後に最近注目されているPET検査ですがFDG(標識したブドウ糖類似薬)という薬を注射し、がんがブドウ糖を多く取り込むという性質を利用してFDGが異常に多く集まる部位を映し出してそこにがんがあることを見つける検査です。しかしPETの機械は非常に高額でほとんどの病院には置いて無いことと検査費用も高額なので容易にがんのスクリーニング検査に使うことはできません。また小さな早期がんはPETでも見えないことが多く、逆にがんではない炎症部分がPETで映し出されてしまいがんと見間違うこともあります。

 それぞれの検査法の長所短所を理解した上で、適切な検査方法を組み合わせて効率よくがんを探し出すことが重要です。

執筆
濵田 暁彦

1974年京都府宮津市生まれ。1993年宮津高校卒業。1年間浪人生活を京都駿台予備校で送り翌年京都大学医学部入学。2000年京都大学医学部卒業後、京都大学医学部附属病院内科研修を1年行う。2001年京都桂病院内科に研修医として赴任。2002年京都桂病院消化器内科医員となり、2007年同副医長。2010年故郷である丹後中央病院消化器内科部長として赴任。現在丹後中央病院消化器内科主任部長兼内視鏡室室長、他に京都大学医学部臨床講師(2015年〜)、宮津武田病院非常勤を務める。モットーは「楽な胃カメラ」「痛くない大腸カメラ」。早期癌の診断治療(拡大内視鏡・食道胃大腸ESD)、胆膵管内視鏡ERCP、超音波内視鏡EUS、EUS-FNA等が専門。機能性胃腸症:FDや過敏性腸症候群:IBS、便秘などで苦しむ患者さんの治療や、様々な不定愁訴に対しても西洋医学(総合内科)と漢方医学を融合させた医療を実践中。また老衰や認知症に伴う肺炎などの終末期患者さんの看取りや、各種がんの終末期緩和ケア&看取りをこれまで多くの患者さんに行い、安らかな最期を迎えられるようチーム医療で取り組んでいる。

所属学会・認定専門医
日本内科学会総合内科専門医、日本消化器病学会専門医、日本消化器内視鏡学会指導医・専門医、日本膵臓学会、日本胆道学会、日本臨床細胞学会、日本食道学会、日本肝臓学会、日本ヘリコバクター学会認定医、日本腹部救急医学会、日本時間生物学会、日本臨床腸内微生物学会、日本東洋医学会