濵田暁彦医師 コラム No.75
2018/05/20(与謝野町くすぐるカード会発行「くすぐる vol.210」2018年06月号を改訂)

「がんとは何か?」-その10-「組織診断=Group(グループ)分類、細胞診=Class(クラス)分類とは?」


 前々回に「がんが確定」した患者さんの「がんの進行度」を「病期(びょうき)=Stage(ステージ)分類」で表し、ステージⅠからⅣという様にがんが広がって行くにつれ数字が大きくなるお話をしました。

 今回はまずGroup(グループ)分類についてお話します。
 消化器のがんの中で胃がんと大腸がんでは、内視鏡検査の時にがんと思われる腫瘤(しゅりゅう:できもの)を見つけると、鉗子(かんし)という道具で腫瘤の一部を小さくつかみ取る「生検(せいけん)」を行います。その小さな組織をホルマリンに漬けて固め、青紫と赤の色素を用いたHE(エイチ・イー)染色を行った後、病理診断を専門とする医師(病理医びょうりい)が、顕微鏡で細胞の配列や形を見て「がんなのか、がんでは無いのか」という「病理組織(びょうりそしき)診断」を行います。
 この際に用いる指標が「生検組織診断分類=Group(グループ)分類」です。Group(グループ)1は正常組織、Group2は腫瘍か非腫瘍か判断が困難、Group3はまだがんではない(浸潤や転移はしない)良性腫瘍(=腺腫:せんしゅ)、Group4は癌疑い、Group5は癌、という様に5段階で正常から癌までの判断を行います。
 つまり癌か癌で無い(非癌)かは白か黒かというような単純なものではなく、あいまいでどちらとも付かない「グレー(灰色)」ということもあるのです。そのため、グレーなGroup2やGroup3の場合は慎重な治療方針の決定が必要になります。
 大腸ポリープがGroup3腺腫という良性ポリープなら将来Group5のがんに成長する恐れがあるためできる限り内視鏡で切除します。大腸ポリープがGroup1の過形成ポリープと診断されれば、将来がんになる危険はないため切除しなくても良いと判断します。

 このようにGroup(グループ)分類は小さな生検組織がどの程度がんに近いかを判断する分類で、がんの進行度を表すStage(ステージ)分類とは全く違うのですが、よく混同して間違える方がおられるので今回説明をしてみました。
 またこれとは別に、Class(クラス)分類というがん細胞の判定方法もあります。これは「細胞診(さいぼうしん)」と言って、肺癌や膀胱癌、子宮癌などのように、鉗子で組織をつかみ取ることができない腫瘍では、代わりに痰や尿、綿棒でこすり取ったバラバラの細胞を集めてスライドガラスの上にのせて、今度はパパニコロー染色という青紫と橙・黄・緑色の色素で染色を行い、病理医が顕微鏡で見て細胞がどれだけがんに近いかをClassⅠからⅤまでの5段階で分類する方法です。Group分類と同じく、ClassⅠが正常、ClassⅤががんで、その間は数字が大きいほどがんに近い細胞を表しています。そしてこの結果を元に治療方針が決定されるのです

執筆
濵田 暁彦

1974年京都府宮津市生まれ。1993年宮津高校卒業。1年間浪人生活を京都駿台予備校で送り翌年京都大学医学部入学。2000年京都大学医学部卒業後、京都大学医学部附属病院内科研修を1年行う。2001年京都桂病院内科に研修医として赴任。2002年京都桂病院消化器内科医員となり、2007年同副医長。2010年故郷である丹後中央病院消化器内科部長として赴任。現在丹後中央病院消化器内科主任部長兼内視鏡室室長、他に京都大学医学部臨床講師(2015年〜)、宮津武田病院非常勤を務める。モットーは「楽な胃カメラ」「痛くない大腸カメラ」。早期癌の診断治療(拡大内視鏡・食道胃大腸ESD)、胆膵管内視鏡ERCP、超音波内視鏡EUS、EUS-FNA等が専門。機能性胃腸症:FDや過敏性腸症候群:IBS、便秘などで苦しむ患者さんの治療や、様々な不定愁訴に対しても西洋医学(総合内科)と漢方医学を融合させた医療を実践中。また老衰や認知症に伴う肺炎などの終末期患者さんの看取りや、各種がんの終末期緩和ケア&看取りをこれまで多くの患者さんに行い、安らかな最期を迎えられるようチーム医療で取り組んでいる。

所属学会・認定専門医
日本内科学会総合内科専門医、日本消化器病学会専門医、日本消化器内視鏡学会指導医・専門医、日本膵臓学会、日本胆道学会、日本臨床細胞学会、日本食道学会、日本肝臓学会、日本ヘリコバクター学会認定医、日本腹部救急医学会、日本時間生物学会、日本臨床腸内微生物学会、日本東洋医学会