濵田暁彦医師 コラム No.73
2018/03/20(与謝野町くすぐるカード会発行「くすぐる vol.205」2018年04月号を改訂)

「がんとは何か?」-その8-「がんの進行度とは?-病期(びょうき)=ステージ」


 がんは見つかった時点で、初期の段階から末期のものまで様々です。どのくらい進行して広がっているか、そしてどのような治療法が選択肢にあるのか、更にどのくらい治る見込みがあるのかといった目安が知りたい所です。

 この目安がそれぞれのがんに定められていて「病期(びょうき)分類=ステージ分類」と言います。ステージ分類には、世界中で共通して使われるために作られた「国際対がん連合(UICC)のTNM(ティーエヌエム)分類」というものと、日本の各種のがんを扱う学会が取り決めている「がん取り扱い規約(とりあつかいきやく)」という2種類が主に使われています。
 しかもアメリカではAJCCという分類が使われていたりと、がんの病期=ステージも国によって異なっていて、ややこしいことにこの国際分類とアメリカ、日本の分類が似ているようでやはり少しずつ違っているのです。更にどれも数年に1度ずつ改訂され変わって行くため、昔と今では同じがんでもステージが違うことがあります。

 しかしここではややこしい話はひとまず置いておいて、ステージ分類では「TMN(ティー・エヌ・エム)」という3つの要素に分けて、T(Tumor=腫瘍のこと):おおもとのがん(=原発がん)の大きさや浸潤(しんじゅん)度合いをTis, T1,T2,T3,T4などの段階で判断し、N(Lymph Nodes=リンパ節):リンパ節転移の度合いをN0,N1,N2,N3などの段階で、M(Metastasis転移):遠隔転移の有無をM0,M1というようにそれぞれ判断して、最終的に総合的な進行度合いを病期=ステージ0、Ⅰ、Ⅱ、Ⅲ、Ⅳと表しています。

 ステージの数字が大きくなるほど、がんは進行しています。例えば、大腸癌取り扱い規約第8版でT2N1M0ならステージⅢaといった具合に、TNMが決まるとステージが決まります。ステージが決まると次に治療法を考えて行きます。
 胃癌や大腸癌なら、ステージ0やⅠでがんが粘膜下層の浅い所までの浸潤度合いなら内視鏡による切除を第1選択としたり、ステージⅡ、Ⅲなら手術が一番に勧められたり、ステージⅣなら抗がん剤治療=化学療法がまず選ばれるといった具合です。
 また手術をした後には、切り取った検体を顕微鏡で見て、更にがんの広がり具合を確かめます。そのため、手術の後でステージが修正され変わることもあります。浸潤の度合いが予想以上だったり以下だったり、リンパ節転移が予想以上に少なかったり多かったりというように、顕微鏡検査=病理(びょうり)検査によって目に見える以上に詳しくがんの状態が分かるからです。

 最期にステージが決まると、その人の「余命(よみょう)」や「生存率(せいぞんりつ)」がこれまでの患者さん達の統計から見えてくるのです。次回はこの「余命と生存率」についてのお話をいたします

 

執筆
濵田 暁彦

1974年京都府宮津市生まれ。1993年宮津高校卒業。1年間浪人生活を京都駿台予備校で送り翌年京都大学医学部入学。2000年京都大学医学部卒業後、京都大学医学部附属病院内科研修を1年行う。2001年京都桂病院内科に研修医として赴任。2002年京都桂病院消化器内科医員となり、2007年同副医長。2010年故郷である丹後中央病院消化器内科部長として赴任。現在丹後中央病院消化器内科主任部長兼内視鏡室室長、他に京都大学医学部臨床講師(2015年〜)、宮津武田病院非常勤を務める。モットーは「楽な胃カメラ」「痛くない大腸カメラ」。早期癌の診断治療(拡大内視鏡・食道胃大腸ESD)、胆膵管内視鏡ERCP、超音波内視鏡EUS、EUS-FNA等が専門。機能性胃腸症:FDや過敏性腸症候群:IBS、便秘などで苦しむ患者さんの治療や、様々な不定愁訴に対しても西洋医学(総合内科)と漢方医学を融合させた医療を実践中。また老衰や認知症に伴う肺炎などの終末期患者さんの看取りや、各種がんの終末期緩和ケア&看取りをこれまで多くの患者さんに行い、安らかな最期を迎えられるようチーム医療で取り組んでいる。

所属学会・認定専門医
日本内科学会総合内科専門医、日本消化器病学会専門医、日本消化器内視鏡学会指導医・専門医、日本膵臓学会、日本胆道学会、日本臨床細胞学会、日本食道学会、日本肝臓学会、日本ヘリコバクター学会認定医、日本腹部救急医学会、日本時間生物学会、日本臨床腸内微生物学会、日本東洋医学会