濵田暁彦医師 コラム No.72
2018/02/20(与謝野町くすぐるカード会発行「くすぐる vol.204」2018年03月号を改訂)

「がんとは何か?」-その7-「がんの統計からみえることは?」

「国立がん研究センター」の中の「がん対策情報センター」という機関が、全国のがん患者の情報を集めてインターネットなどで公開しています。

 毎年どのくらいの人ががんで亡くなっているか⇒死亡数、毎年どのくらいの数のがんが新たに診断されて(見つかって)いるか⇒罹患数(りかんすう)、がんと診断された人がその後どのくらいの割合で生存しているか⇒生存率、といった全国の癌患者のデータ=情報です。
 この情報を元に国や地域でがん対策を立案するのです。例えば、日本の最新のがん統計は、死亡数は2016年のものが最新で、2016年にがんで死亡した人は37万2986人、そのうち男性21万9785人、女性15万3201人と男性が多い結果でした。
 また男性のがん死亡では1位肺癌5万2430人と男性の肺癌はすべてのがんの中で群を抜いて多いのが特徴です。2位胃癌2万9854人、3位大腸癌2万7026、4位肝臓癌1万8510、5位膵臓癌1万7060人となっています。
 女性では、1位大腸癌2万3073人、2位肺癌2万1408人、3位がなんと今回は膵臓癌で胃癌を抜いて1万6415人、4位胃癌1万5677人、5位乳癌1万4015人と続きます。

 全てのがんの中でも最も5年生存率の悪い膵臓癌が女性では3位まで、男性でも5位まで上昇してきたことは驚くべきデータで、膵臓癌をもっと早期に発見するための対策を取らなければならないことがよく分かります。
また特に男性では圧倒的に肺癌が多いことを見ても、禁煙対策がもっと推し進められるべきだと分かりますし、たばこは肺癌だけでなく先ほどの膵臓癌や、胃癌・肝臓癌・食道癌・膀胱癌などの原因であることも分かっています。

 がんの死亡数は60歳代から増加し、高齢になるにつれどんどん増えます。一般的に「高齢者はがんになりにくく、なったとしてもゆっくり進む。」という事を聞きますが、統計を見る限りこれは事実とは異なるようです。高齢者でもがんはどんどん進行しますし、高齢になればなるほどがんになり易くなるのです。
 これは前回にもご説明したようにがんはDNAという遺伝子の損傷が蓄積し、これを修復する働きをかいくぐって起こってくる病気のため、高齢になればなるほど遺伝子の異常は起こり易くなるからです。

 男の方も、女の方も、自分がなり易いがんの種類や、早期発見するための効果的な検査、予防するための方法を、新しく確かな情報からより良く知ることが健康に生きて行く上では重要なのです。

執筆
濵田 暁彦

1974年京都府宮津市生まれ。1993年宮津高校卒業。1年間浪人生活を京都駿台予備校で送り翌年京都大学医学部入学。2000年京都大学医学部卒業後、京都大学医学部附属病院内科研修を1年行う。2001年京都桂病院内科に研修医として赴任。2002年京都桂病院消化器内科医員となり、2007年同副医長。2010年故郷である丹後中央病院消化器内科部長として赴任。現在丹後中央病院消化器内科主任部長兼内視鏡室室長、他に京都大学医学部臨床講師(2015年〜)、宮津武田病院非常勤を務める。モットーは「楽な胃カメラ」「痛くない大腸カメラ」。早期癌の診断治療(拡大内視鏡・食道胃大腸ESD)、胆膵管内視鏡ERCP、超音波内視鏡EUS、EUS-FNA等が専門。機能性胃腸症:FDや過敏性腸症候群:IBS、便秘などで苦しむ患者さんの治療や、様々な不定愁訴に対しても西洋医学(総合内科)と漢方医学を融合させた医療を実践中。また老衰や認知症に伴う肺炎などの終末期患者さんの看取りや、各種がんの終末期緩和ケア&看取りをこれまで多くの患者さんに行い、安らかな最期を迎えられるようチーム医療で取り組んでいる。

所属学会・認定専門医
日本内科学会総合内科専門医、日本消化器病学会専門医、日本消化器内視鏡学会指導医・専門医、日本膵臓学会、日本胆道学会、日本臨床細胞学会、日本食道学会、日本肝臓学会、日本ヘリコバクター学会認定医、日本腹部救急医学会、日本時間生物学会、日本臨床腸内微生物学会、日本東洋医学会