濵田暁彦医師 コラム No.64
(与謝野町くすぐるカード会発行「くすぐる vol.196」2017年7月掲載)

「がんとは何か?」その1

今回からシリーズで「がん」にまつわるお話をしたいと思います。みなさんは「がん」と聞くとまず「恐ろしい不治の病」と思われるのでは無いでしょうか。

ある日ちょっとした症状がきっかけで、あるいは検診がきっかけで「がん」が見つかり、医師の告知を受け、大きな手術をして、手術が終わった後には抗がん剤治療が始まる。吐き気や脱毛の副作用に苦しみ、無菌室に入りながら繰り返し抗がん剤治療を行う。しかし段々がんが大きくなり、転移し、痛みや肺炎を起こしながら、最後にはやせ衰えて息を引き取る。

こんなイメージを持たれているのでは無いでしょうか。

しかしそれはがん患者さんの経過の一例に過ぎません。がんは多種多様で、またその症状や経過も様々です。みなさんは「がん」に対して「どうしてがんが出来るの?」「予防法は?」「検査法は?」「どのように転移するの?」「どれくらい痛いの?」「何年くらい生きられるの?」と様々な疑問をお持ちだと思います。ただほとんどの人は「自分はがん家系ではないし、がんにはならないだろう。」と根拠の無い自信を持っているようなのです。

しかし今の医学では「がんになりにくい人はいても、絶対がんにならないという人はいない」というのが常識なのです。また人間だけでなく他の動物でもがんはできますし、動物とは違いがんが出来にくい増殖方法をとる植物にさえ、まれに「がん」は発生します。「ええっ、がんはだれでもなるなんてウソでしょう?」と思われている方は是非一緒にがんについての知識を深めて行きましょう。

まずは「がん」というものの定義を知らなくてはなりません。「がん」とは「悪性腫瘍(アクセイシュヨウ)」と同じ意味で、英語では「cancer(キャンサー)」ドイツ語では「Krebs(クレブス)」と言い、いずれも蟹(カニ)を表す言葉です。

これは今から2400年ほども昔の紀元前400年頃、ギリシアの名医ヒポクラテス(医学の父)が、乳がんが蟹の足の様な広がりを見せたことから命名したと言われています。

また昔の日本ではがんが岩の様に硬い事から「岩(ガン)」と書かれたこともあり、「癌」という漢字も、「疒」(やまい)と「嵒(ガン)」(岩)が合わさってできた漢字で、「岩の様な病気」という意味なのです。そしてこの「がん」の最大の特徴は、「細胞」の「遺伝子」が「変異」を起こして制御不能の増殖を行うようになり、正常な組織を犯して生き物を死に追いやる、というものなのです。

ここで「細胞」や「遺伝子」という、理科の生物で習う専門用語が出てきましたが、細胞や遺伝子の事を知ると、がんについてもより深く理解できるようになります。次回はこれらについて更にお話いたします。

執筆
濵田 暁彦

宮津高校、京都大学卒。
丹後中央病院消化器内科主任部長、京都大学医学部臨床講師、宮津武田病院非常勤。モットーは「楽な胃カメラ」「痛くない大腸カメラ」。早期癌の診断(ESD)、胆膵内視鏡ERCP、超音波内視鏡等が専門。様々な不定愁訴に対しても、総合内科と漢方を融合させた治療を実践中。