濵田暁彦医師 コラム No.58
(与謝野町くすぐるカード会発行「くすぐる vol.190」2017年1月掲載)

「健康とは」

明けましておめでとうございます。今年の最初のお話は原点に立ち返り「健康とは何か?」を皆様と一緒に考えたいと思います。

健康の定義を調べて見ると、太平洋戦争終戦の翌年1946年に各国代表で作られた「世界保健機関=WHO憲章」に行き着きました。そこには「健康とは病気ではないというだけでなく、身体的にも精神的にも、そして社会的にも全てが満たされた状態にあることをいいます。」「経済的・社会的条件によって差別されることなく、健康に恵まれることはあらゆる人にとっての基本的人権のひとつです。」「すべての人が健康であることは、平和と安全を達成するための基礎であり、その成否は個人と国家の全面的な協力にかかっています。」「各国政府には自国民の健康に対する責任があり、その責任を果たすためには十分な健康対策と社会的施策を行わなければなりません。」と書かれています。

つまり「健康とは」一個人の体と心の安定は勿論のこと、1人1人が社会の中で安定した生活が保証され、1人1人の積極的な協力の元で国の政策が浸透して得られる平和と安全が保証された状態だと言う事なのです。

初めは「ずいぶん大げさな表現だなあ。」と感じましたが、何度も読んでいるうちにその深い意味が徐々にわかって来ました。国の施策と言うのは、感染症の拡大を防ぐ検疫や予防接種対策、衛生管理のための上下水道整備、迅速な救急搬送や医療物資の輸送のための交通網整備、様々な医療健康情報を行き渡らせるための通信情報網整備、国民皆保険制度、健康診断の普及など様々なインフラの整備が挙げられます。

これらの多くの施策のお陰で私達の平和と安全が守られ、初めて健康が守られるのですが、これにはそれぞれ個人の理解と協力が必要なのです。

国内紛争や移民となって国に守られなくなった人々が世界には大勢いますが、衣食住や衛生環境、仕事といった社会的な安定が得られないことがどれ程大きく健康を害するかは想像に難くありません。

社会的な健康を得るためには1人1人の協力が必要で、医療費に必要な保険料や税金から始まり、感染症を他人に移さないことや、タバコの煙を他人に吸わせない事、少ない医療資源を皆が使うために安易に救急車を使わず救急外来をコンビニ受診しない事、健康診断を受けることなど、自分のためだけでなく、他人を気遣う広い視野があって初めて健康が得られるのです。

年初の今、皆様も一度ゆっくりと健康とは何か?についてじっくりと考えてみて下さい。

執筆
濵田 暁彦

宮津高校、京都大学卒。
丹後中央病院消化器内科主任部長、京都大学医学部臨床講師、宮津武田病院非常勤。モットーは「楽な胃カメラ」「痛くない大腸カメラ」。早期癌の診断(ESD)、胆膵内視鏡ERCP、超音波内視鏡等が専門。