濵田暁彦医師 コラム No.54
2016/08/20(与謝野町くすぐるカード会発行「くすぐる vol.186」2016年9月号より改訂)

「脳卒中」の話

めまい、耳鳴りのお話の次ぎは「脳卒中」を取り上げます。脳卒中とは、脳の血管が詰まる「脳梗塞」と、血管が破れる「脳出血」「くも膜下出血(脳を取り巻くクモ膜と脳の間で出血し脳を圧迫する病気)」があります。

 毎年25万人以上が新たに脳卒中を発症し、150万人が病院にかかっています。脳卒中は日本人の死因の約10%を占めており死因の第4位です。また寝たきりの原因としては最も多く約3割を占めます。「中風(ちゅうふう、ちゅうぶ)」という言葉も、脳卒中によって手足の麻痺などの後遺症が残った状態を指します。

 これまでにもお話していますが、脳卒中の危険因子としては、高血圧、脂質異常症、糖尿病、心房細動(不整脈の一種)、喫煙、多量の飲酒、メタボリックシンドローム、睡眠時無呼吸症候群(SAS)、慢性腎臓病(CKD)など多数の病気や生活習慣が挙げられ、その他にも暑さによる熱中症や寒さによる急激な血圧変動なども脳卒中の危険を高めると考えられます。

 最近ちまたでは週刊誌などで「血圧の薬は危険だ」とか「コレステロールは高い方が良い」といった論調も見受けられますが、残念ながらこれらの記事に目を通しても確たる根拠が書かれていませんし、それに代わる対応策も書かれていません。それに対し世界中の様々な研究を集めて吟味し、その時点で最良の対処策を示した「ガイドライン」というものが脳卒中に対しても作られていますが、このガイドライン(2015年最新版)にもやはり高血圧や脂質異常症の治療、禁煙や多量飲酒を控えることが脳梗塞の予防には重要であると多くの研究から示されています。

 脳梗塞とは、脳の細胞の一部が死滅してしまう事ですが、残念ながら脳細胞は再生できません。脳は部位によって果たしている役割が決まっていますので、一旦脳梗塞を起こして失われてしまった脳の働きはなかなか戻って来ません。長期間リハビリを頑張ることで他の脳細胞が代わりに働いてくれることを期待するしかないのですが、できれば脳梗塞になってから治療するよりも、ならない様に普段から予防を心がける方が得策ではないでしょうか。みなさんも正しい情報に基づいて自分の健康を守って行って下さい。

執筆
濵田 暁彦

1974年京都府宮津市生まれ。1993年宮津高校卒業。1年間浪人生活を京都駿台予備校で送り翌年京都大学医学部入学。2000年京都大学医学部卒業後、京都大学医学部附属病院内科研修を1年行う。2001年京都桂病院内科に研修医として赴任。2002年京都桂病院消化器内科医員となり、2007年同副医長。2010年故郷である丹後中央病院消化器内科部長として赴任。現在丹後中央病院消化器内科主任部長兼内視鏡室室長、他に京都大学医学部臨床講師(2015年〜)、宮津武田病院非常勤を務める。モットーは「楽な胃カメラ」「痛くない大腸カメラ」。早期癌の診断治療(拡大内視鏡・食道胃大腸ESD)、胆膵管内視鏡ERCP、超音波内視鏡EUS、EUS-FNA等が専門。機能性胃腸症:FDや過敏性腸症候群:IBS、便秘などで苦しむ患者さんの治療や、様々な不定愁訴に対しても西洋医学(総合内科)と漢方医学を融合させた医療を実践中。また老衰や認知症に伴う肺炎などの終末期患者さんの看取りや、各種がんの終末期緩和ケア&看取りをこれまで多くの患者さんに行い、安らかな最期を迎えられるようチーム医療で取り組んでいる。

所属学会・認定専門医
日本内科学会総合内科専門医、日本消化器病学会専門医、日本消化器内視鏡学会指導医・専門医、日本膵臓学会、日本胆道学会、日本臨床細胞学会、日本食道学会、日本肝臓学会、日本ヘリコバクター学会認定医、日本腹部救急医学会、日本時間生物学会、日本臨床腸内微生物学会、日本東洋医学会