濵田暁彦医師 コラム No.54
(与謝野町くすぐるカード会発行「くすぐる vol.186」2016年9月掲載)

「脳卒中」の話

めまい、耳鳴りのお話の次は「脳卒中」を取り上げます。脳卒中とは、脳の血管が詰まる「脳梗塞」と、血管が破れる「脳出血」「くも膜下出血(脳を取り巻くクモ膜と脳の間で出血し脳を圧迫する病気)」があります。毎年25万人以上が新たに脳卒中を発症し、150万人が病院にかかっています。

脳卒中は日本人の死因の約10%を占めており死因の第4位です。また寝たきりの原因としては最も多く約3割を占めます。「中風(ちゅうふう、ちゅうぶ)」という言葉も、脳卒中によって手足の麻痺などの後遺症が残った状態を指します。

これまでにもお話していますが、脳卒中の危険因子としては、高血圧、脂質異常症、糖尿病、心房細動(不整脈の一種)、喫煙、多量の飲酒、メタボリックシンドローム、睡眠時無呼吸症候群(SAS)、慢性腎臓病(CKD)など多数の病気や生活習慣が挙げられ、その他にも暑さによる熱中症や寒さによる急激な血圧変動なども脳卒中の危険を高めると考えられます。

最近ちまたでは週刊誌などで「血圧の薬は危険だ」とか「コレステロールは高い方が良い」といった逆の論調も見受けられますが、残念ながらこれらの記事に目を通しても確たる根拠が書かれていませんし、それに代わる対応策も書かれていません。それに対し世界中の様々な研究を集めて吟味し、その時点で最良の対処策を示した「ガイドライン」というものが脳卒中に対しても作られていますが、このガイドライン(2015年最新版)にもやはり高血圧や脂質異常症の治療、禁煙や多量飲酒を控えることが脳梗塞の予防には重要であると多くの研究から示されています。

脳梗塞とは、脳の細胞の一部が死滅してしまう事ですが、残念ながら脳細胞は再生できません。脳は部位によって果たしている役割が決まっていますので、一旦脳梗塞を起こして失われてしまった脳の働きはなかなか戻って来ません。長期間リハビリを頑張ることで他の脳細胞が代わりに働いてくれることを期待するしかないのですが、できれば脳梗塞になってから治療するよりも、ならない様に普段から予防を心がける方が得策ではないでしょうか。みなさんも正しい情報に基づいて自分の健康を守って行って下さい。

執筆
濵田 暁彦

宮津高校、京都大学卒。
丹後中央病院消化器内科主任部長、京都大学医学部臨床講師、宮津武田病院非常勤。モットーは「楽な胃カメラ」「痛くない大腸カメラ」。早期癌の診断(ESD)、胆膵内視鏡ERCP、超音波内視鏡等が専門。