濵田暁彦医師 コラム No.53
(与謝野町くすぐるカード会発行「くすぐる vol.185」2016年8月掲載)

「耳鳴り」の話

前回はめまいの話で、めまいは耳から来る内耳性めまいと、脳から来る中枢性めまいがあることをお話ししました。それと同じように「耳鳴り」も耳から来る場合と脳から来る場合があります。

片方の耳にだけ起こる耳鳴りは耳の障害がまず考えられ、「中耳炎」や「耳管狭窄症」など中耳に起こる耳鳴りでは難聴を伴うこともあります。更に耳鳴り、難聴に回転性のめまいも伴うと「メニエール病」や「突発性難聴」「内耳炎」などの内耳の病気を疑います。難聴は放っておくと聴力が戻らなくなる事があるため、早めの耳鼻科受診をお勧めします。

両方の耳に耳鳴りがあり、フワフワするような中枢性めまいや手足のしびれなどの症状を伴う場合には脳の異常をまず考えます。脳梗塞の可能性もあるため早めに脳外科や神経内科の受診をお勧めします。

以前に頭痛の回でも書きましたが、耳というより頭の中でジージーとセミの鳴くような雑音がずっと聞こえている人も多く、これは「頭鳴」と言って脳の興奮によって引き起こされる事が最近解ってきました。しかも片頭痛に伴うことが多く、他にもうつ病やパニック障害に伴うこともあります。頭鳴には脳神経の興奮を抑える抗てんかん薬や片頭痛の薬が有効です。

耳や脳神経の病気以外でも、高血圧や動脈硬化、糖尿病などの生活習慣病に伴って耳鳴りがする場合があり、高血圧では首の動脈を流れる血液の音を耳鳴りと感じる場合もあります。過労やストレス、偏った食事、不規則な生活など、生活習慣の乱れが耳鳴りを引き起こすこともあり、過度のストレスが脳神経の興奮を引き起こし、どんどん悪化することもあるのです。また、大音量の音楽やヘッドホンは内耳の細胞を障害し、耳鳴りを引き起こすこともあります。

このように耳鳴りと言っても原因は様々で、適切な診断による適切な治療を行わないと後遺症が残ったり、長年耳鳴りに悩まされることになるため、まず自分の耳鳴りの種類がどのような種類のものか、「耳をすませて」よく考えて見ましょう。そして適切な科に受診をしましょう。

執筆
濵田 暁彦

宮津高校、京都大学卒。
丹後中央病院消化器内科主任部長、京都大学医学部臨床講師、宮津武田病院非常勤。モットーは「楽な胃カメラ」「痛くない大腸カメラ」。早期癌の診断(ESD)、胆膵内視鏡ERCP、超音波内視鏡等が専門。