濵田暁彦医師 コラム No.52
2016/06/20(与謝野町くすぐるカード会発行「くすぐる vol.184」2016年7月号より改訂)

「めまい(眩暈)」の話

「めまい」という医学用語は使われ方が様々で困る事が多々あります。「立ちくらみ」や「歩行困難」、「はきけ」なども「めまい」と表現される場合があり、まためまいには大きく分けて「回転性めまい=vertigo(ヴァーティゴ)」と「浮動性めまい=dizziness(ディジネス)」の2つの種類があります。英語ではこの2種類のめまいに対して医学用語を使い分けていますが、日本語では「めまい」の一語しかありません。しかしこの2種類にめまいを分ける事には深い理由があります。

 回転性めまいの原因は耳にある平衡感覚を司る三半規管(さんはんきかん)という場所にあり「内耳(ないじ)性めまい」や「末梢(まっしょう)性めまい」とも呼ばれます。また浮動性めまいの原因は「脳」の中の「脳幹(のうかん)」や「小脳(しょうのう)」という後頭部から後頚部に近い脳の下の部分にあり「中枢(ちゅうすう)性めまい」とも呼ばれます。

 この中枢性めまいは脳が原因のために、めまいだけではなくて、物が二重に見えたり、手足の動きや感覚がおかしくなったり、上手くしゃべれなくなったり、物につかまっても立てないなどの他の症状が一緒に起こることがほとんどです。そして早めに治療をしないと障害が残ったり、症状がどんどん悪化する恐れもあるため適切な診断が必要となります。

 しかし、実際には脳卒中による中枢性のめまいの患者さんは、めまいを訴えて受診される患者さんの内の数パーセントとほとんど居ないのが実情です。めまいの原因で最も多いのは「良性発作性頭位めまい」という三半規管から来る耳が原因のめまいで、ほぼ半数の患者さんはこれに当たります。

 その他にも、耳の神経の炎症である「前庭神経炎」というめまいやよく聞く「メニエール病」というめまいもありますが、メニエール病は実はそれほど多くはありません。また耳や脳以外の病気、「筋緊張性頭痛」や「うつ状態」、「低血圧」などが原因のめまいの患者さんも多くあります。

 皆さんもめまいと耳の聞こえにくさ、吐き気以外の症状が無くて、しばらくじっとしていれば治まるめまいであれば、内耳性のめまいの事が多いので、必要以上に怖がらずに耳鼻科や救急を受診して、どの様な症状かを落ち着いて説明してみて下さい。内耳性めまいは自然と良くなったり、何種類かある頭の向きを回転させるだけの治療法で良くなることも多いのです。

執筆
濵田 暁彦

1974年京都府宮津市生まれ。1993年宮津高校卒業。1年間浪人生活を京都駿台予備校で送り翌年京都大学医学部入学。2000年京都大学医学部卒業後、京都大学医学部附属病院内科研修を1年行う。2001年京都桂病院内科に研修医として赴任。2002年京都桂病院消化器内科医員となり、2007年同副医長。2010年故郷である丹後中央病院消化器内科部長として赴任。現在丹後中央病院消化器内科主任部長兼内視鏡室室長、他に京都大学医学部臨床講師(2015年〜)、宮津武田病院非常勤を務める。モットーは「楽な胃カメラ」「痛くない大腸カメラ」。早期癌の診断治療(拡大内視鏡・食道胃大腸ESD)、胆膵管内視鏡ERCP、超音波内視鏡EUS、EUS-FNA等が専門。機能性胃腸症:FDや過敏性腸症候群:IBS、便秘などで苦しむ患者さんの治療や、様々な不定愁訴に対しても西洋医学(総合内科)と漢方医学を融合させた医療を実践中。また老衰や認知症に伴う肺炎などの終末期患者さんの看取りや、各種がんの終末期緩和ケア&看取りをこれまで多くの患者さんに行い、安らかな最期を迎えられるようチーム医療で取り組んでいる。

所属学会・認定専門医
日本内科学会総合内科専門医、日本消化器病学会専門医、日本消化器内視鏡学会指導医・専門医、日本膵臓学会、日本胆道学会、日本臨床細胞学会、日本食道学会、日本肝臓学会、日本ヘリコバクター学会認定医、日本腹部救急医学会、日本時間生物学会、日本臨床腸内微生物学会、日本東洋医学会