濵田暁彦医師 コラム No.46
2015/12/20(与謝野町くすぐるカード会発行「くすぐる vol.179」2016年1月掲載)

C型肝炎の新治療DAAsと時計遺伝子

新年明けましておめでとうございます。昨年は私の専門の消化器内科の分野では、C型肝炎の新たな治療がいよいよ新しい段階に入りました。

これまでは「インターフェロン」という免疫を賦活化(ふかつか)する注射薬が主役でしたが副作用も強く、ウイルスが除去できないことも多かったのですが、直接作用型抗ウイルス薬(DAAs)という飲み薬が登場し、これらの薬の組み合わせでほぼ100%のウイルス消滅が実現したのです。

私が医者になった15年前には「不治の病」であったC型肝炎が、今や「治る病気」になったのです。新しい時代になったと言っても過言ではない大きな出来事です。日本国内には今だ約100人に1人、約150万人のC型肝炎の患者さんがいると推測されていますが、まだ自分がC型肝炎であることを知らない人も多いのです。血液検査で簡単にC型肝炎ウイルスの抗体を調べることができるので、一度調べてみることをお勧めします。

さて新年はみな様毎年、昨年の出来事を振り返り、これから来たる新しい1年に思いを馳せるのではないでしょうか。「光陰矢のごとし」と言いますが、私が医者になってからの15年はあっという間に過ぎたように感じます。特に年々、1年が早く過ぎるように感じられるのは私だけでは無いと思います。実際100年以上前のフランスの哲学者ポール・ジャネは「主観的に記憶される月日の長さは年齢に反比例する」と言う「ジャネーの法則」を提唱したとされていますが、これは「10歳の子供が1年と感じる時間の長さは、40歳では4分の1の長さに感じる」というものです。これには全く科学的な根拠はなく物の例えと言うべきものですが、しかし世の東西老若男女を問わず共通した感覚なのではないでしょうか。

最近それとは別に生物・医学の分野では「生命の中にある体内時計」について色々と解ってきました。それは全ての生物には「時計遺伝子」があり、その遺伝子から作られるタンパク質によって生物の一日の行動リズムが規定されているというものです。更にはその時計遺伝子の働きが低下することと、代謝障害、睡眠障害、癌、老化などの病気に関係があることが解ってきたのです。

次回はこの「時計遺伝子」と病気・健康の関係についてお話したいと思います。

執筆
濵田 暁彦

宮津高校、京都大学卒。
丹後中央病院消化器内科主任部長、京都大学医学部臨床講師、宮津武田病院非常勤。モットーは「楽な胃カメラ」「痛くない大腸カメラ」。早期癌の診断(ESD)、胆膵内視鏡ERCP、超音波内視鏡等が専門。