濵田暁彦医師 コラム No.43
2015/09/20(与謝野町くすぐるカード会発行「くすぐる vol.176」2015年10月号より改訂)

「ロコモ」って何?

みなさん「ロコモ」という言葉を知っていますか?「ロコモコなら知ってるよ!」と思われた方は間違×です。「ロコモコ」はハワイの丼もの料理です。

 「ロコモ」は「ロコモティブシンドローム(運動器症候群)」の略で筋肉、骨、関節、軟骨、椎間板といった運動器に障害が起こり「立つ・歩く」といった機能が低下した状態で、進行すると介護が必要になります。

 「ロコモ」は今や「メタボ」=メタボリックシンドローム(内蔵脂肪症候群)、「認知症」と合わせて国民の「健康寿命」を阻害する3大要因の1つなのです。「ロコモ」の具体的な病気とは、骨粗しょう症や関節リウマチなどで骨折しやすい状態となり、脊椎圧迫骨折や円背(背骨の曲り)、様々な関節の変形などが挙げられます。

 「ロコモ」になると「ADL(エーディーエル)=日常生活動作」が低下し、寝起きや移動、トイレや入浴、食事、着替えといった日常生活で必要な動作が出来なくなり介護が必要になってしまいます。最近「平均寿命」に対して「健康寿命」の大切さが認識されていますが、「健康寿命」とはこの「ADL」が保たれ、介護を受けずに自分で自立した生活が送れる元気な期間を言います。男性の平均寿命は80.2歳ですが健康寿命は平均71.2歳で9年の差があります。女性は平均寿命が86.6歳で健康寿命は平均74.2歳と12年もの差があります。

 この健康寿命と平均寿命の差が「介護が必要な期間」で、介護が必要になる最大の原因が「ロコモ」なのです。骨は年齢と共に徐々に骨密度が低くなり「骨粗しょう症」が進みます。特に50代の閉経後の女性は急激に女性ホルモン「エストロゲン」が減少し骨密度が急激に低下します。エストロゲンの低下はもう一方でLDL(悪玉)コレステロールを上昇させ、脳梗塞や心筋梗塞が起こりやすくなります。

 骨粗しょう症の予防、筋力増強のために、まず食事ではカルシウム(→骨)やタンパク質(肉・魚・大豆)(→筋肉)の摂取に加えビタミンD(→骨)の摂取も重要で、ビタミンDが働くには日光に当たることも必要です。また適度な運動をする事で骨や筋肉を強くして転倒や骨折を防ぎます。更に骨の吸収を防ぎ骨の形成を促す薬を医師と共に上手に使うことで「ロコモ」を予防し「ADL」を保ち、「健康寿命」(自立した生活ができる期間)を伸ばすことを目指しましょう!

執筆
濵田 暁彦


1974年京都府宮津市生まれ。1993年宮津高校卒業。1年間浪人生活を京都駿台予備校で送り翌年京都大学医学部入学。2000年京都大学医学部卒業後、京都大学医学部附属病院内科研修を1年行う。2001年京都桂病院内科に研修医として赴任。2002年京都桂病院消化器内科医員となり、2007年同副医長。2010年故郷である丹後中央病院消化器内科部長として赴任。現在丹後中央病院消化器内科主任部長兼内視鏡室室長、他に京都大学医学部臨床講師(2015年〜)、宮津武田病院非常勤を務める。モットーは「楽な胃カメラ」「痛くない大腸カメラ」。早期癌の診断治療(拡大内視鏡・食道胃大腸ESD)、胆膵管内視鏡ERCP、超音波内視鏡EUS、EUS-FNA等が専門。機能性胃腸症:FDや過敏性腸症候群:IBS、便秘などで苦しむ患者さんの治療や、様々な不定愁訴に対しても西洋医学(総合内科)と漢方医学を融合させた医療を実践中。また老衰や認知症に伴う肺炎などの終末期患者さんの看取りや、各種がんの終末期緩和ケア&看取りをこれまで多くの患者さんに行い、安らかな最期を迎えられるようチーム医療で取り組んでいる。

所属学会・認定専門医
日本内科学会総合内科専門医、日本消化器病学会専門医、日本消化器内視鏡学会指導医・専門医、日本膵臓学会、日本胆道学会、日本臨床細胞学会、日本食道学会、日本肝臓学会、日本ヘリコバクター学会認定医、日本腹部救急医学会、日本時間生物学会、日本臨床腸内微生物学会、日本東洋医学会