濵田暁彦医師 コラム No.41
2015/07/20(与謝野町くすぐるカード会発行「くすぐる vol.174」2015年8月掲載)

「健康日本21とたばこ」

薄紅の合歓木(ねむのき)から濃紅の百日紅(さるすべり)が咲き誇るようになるといよいよ今年も夏本番です。

さて健康日本21が今年から第2次に改定され、京都府でもそれに合わせて「きょうと健やか21(第2次)」を打ち出しています。どちらも同じ様な内容で、これまでの「癌とメタボリックシンドロームの予防」に加えて新たに重点を置いた項目はCOPD(シーオーピーディー:慢性閉塞性肺疾患)とロコモティブシンドローム(運動器症候群⇒立つ歩くなどの運動機能の低下)の予防です。たばこは肺癌を始め多くの癌の原因となるため以前から国民の禁煙が進められて来ました。

今回は癌に加えて最近死亡者が増えていて国際的にも問題になっている「COPD」を積極的に予防すべきだと強調しています。そのための具体策はやはり「禁煙」です。

現在日本人の喫煙率は19%と年々減ってきており中でも20代の若者の喫煙率が最も低くなっています。一方たばこは約65%が税金でその税収は年間2兆円を上回り、国と地方の一般財源の2-3%を占める税収源でもあります。しかしある調査では職場に喫煙者を雇うと労働時間のロスに加えて健康被害などのため喫煙者100人当たり年間2300万円の負担増となることが試算されています。

また医療費の面でも喫煙者は非喫煙者よりメタボや病気になり易く医療費が多くかかることが分かっており、日本全体では煙草に関わる病気の医療費は年間3兆円、その他の損失を合わせるとたばこによる損失は5兆円にもなり、経済的にはマイナス3兆円もの損失となります。更にたばこの値段も徐々に高くなり最終的にはヨーロッパの国々の様に1箱千円ほどになると予想されていますし、生命保険も喫煙者では保険料が高く設定されてきており家計への負担が重くなります。

また各人の禁煙はもちろんですが「受動喫煙」という近くの人が吸ったたばこの煙を否が応でも吸わされてしまうことの被害が大きく、特に飲食店などで問題になっています。飲食店は収入減を恐れるために全面禁煙に踏み切れない店が多いのですが、たとえ分煙のレストランで喫煙O.K.の席であったとしてもたばこを吸わない周りの人とってたばこのにおいは単に「くさい」「迷惑」なものです。更に近くに妊婦や子供がいるような時には(たとえ喫煙O.K.の場所でも)「たばこを吸わない」事が今や公共の場での「大人のマナー」です。

執筆
濵田 暁彦

宮津高校、京都大学卒。
丹後中央病院消化器内科主任部長、京都大学医学部臨床講師、宮津武田病院非常勤。モットーは「楽な胃カメラ」「痛くない大腸カメラ」。早期癌の診断、ESD治療、胆膵内視鏡のERCP、超音波内視鏡が専門。