濵田暁彦医師 コラム No.37
2015/03/20(与謝野町くすぐるカード会発行「くすぐる vol.172」2015年4月号より改訂)

「花と鼻」のはなし

今年も桜の季節となり気分も明るく春めいて来ました。「花」と言えば「桜」という程日本人にとって桜は特別な花と言えるでしょう。

 しかし古来「花の色は うつりにけりな いたづらに わが身世にふる ながめせしまに (小野小町)」、「願わくは 花のもとにて 春死なむ その如月の望月の頃 (西行)」のように桜の花は「はかない命」という昔の日本人の美意識の象徴だったのでしょう。

 現代では「桜」と言えば「卒業と新年度」=「別れと出会い」のイメージに変わって来ています。さてこの時期「花」と言えば「花粉症」がピークです。花粉症は本来外敵から身を守るための免疫細胞が暴走する病気で、鼻水・鼻づまり・涙といった辛い症状に悩まされます。日本人の約25%もの人が花粉症であると言われ今や国民病です。

 日本では戦後の大量植林の結果スギ花粉症の患者さんが急増しましたが、アメリカではブタクサ(キク科・秋頃)が、ヨーロッパではカモガヤ(イネ科・初夏)の植物が、北欧ではシラカバがそれぞれ花粉症の主な原因であるというように地域によって原因となる植物が異なります。

 医学的には肥満細胞と免疫グロブリンIgEが関与する即時型のⅠ型アレルギーと分類されます。治療薬として抗ヒスタミン薬がよく用いられますが、第1世代抗ヒスタミン薬は「眠気」だけでなく「インペアード・パフォーマンス=鈍脳」という本人も気がつかない集中力・判断力・作業能率の低下を起こし、1錠飲むとウイスキーのシングル3杯(90ml)分、日本酒1.5合分飲んだのと同じ位のインペアード・パフォーマンスを来たし、これはアルコール血中濃度50mg/dl程度の「飲酒運転」に相当する量です。

 アメリカの法律では第1世代の抗ヒスタミン薬を服用しての運転は飲酒運転と同様に禁止されているのも納得できます。しかし最近の第2世代の抗ヒスタミン薬は眠気の副作用が少なくなり、パイトットなど職業運転手でも一部使用が許可されています。その他の治療薬として、点眼薬や点鼻薬、漢方薬(小青竜湯など)を用いることでも眠気やインペアード・パフォーマンスの副作用を回避することが可能です。花粉症とも上手く付き合って行きましょう。

執筆
濵田 暁彦

1974年京都府宮津市生まれ。1993年宮津高校卒業。1年間浪人生活を京都駿台予備校で送り翌年京都大学医学部入学。2000年京都大学医学部卒業後、京都大学医学部附属病院内科研修を1年行う。2001年京都桂病院内科に研修医として赴任。2002年京都桂病院消化器内科医員となり、2007年同副医長。2010年故郷である丹後中央病院消化器内科部長として赴任。現在丹後中央病院消化器内科主任部長兼内視鏡室室長、他に京都大学医学部臨床講師(2015年〜)、宮津武田病院非常勤を務める。モットーは「楽な胃カメラ」「痛くない大腸カメラ」。早期癌の診断治療(拡大内視鏡・食道胃大腸ESD)、胆膵管内視鏡ERCP、超音波内視鏡EUS、EUS-FNA等が専門。機能性胃腸症:FDや過敏性腸症候群:IBS、便秘などで苦しむ患者さんの治療や、様々な不定愁訴に対しても西洋医学(総合内科)と漢方医学を融合させた医療を実践中。また老衰や認知症に伴う肺炎などの終末期患者さんの看取りや、各種がんの終末期緩和ケア&看取りをこれまで多くの患者さんに行い、安らかな最期を迎えられるようチーム医療で取り組んでいる。

所属学会・認定専門医
日本内科学会総合内科専門医、日本消化器病学会専門医、日本消化器内視鏡学会指導医・専門医、日本膵臓学会、日本胆道学会、日本臨床細胞学会、日本食道学会、日本肝臓学会、日本ヘリコバクター学会認定医、日本腹部救急医学会、日本時間生物学会、日本臨床腸内微生物学会、日本東洋医学会