濵田暁彦医師 コラム No.32
2014/10/20(与謝野町くすぐるカード会発行「くすぐる vol.167」2014年11月号より改訂)

「感染症の話」その1

今回は「感染症」の話をしたいと思います。最近海外では「エボラ出血熱」が流行し数千人が亡くなって国際問題にもなっています。国内でも蚊によって感染する「デング熱」やマダニによって感染し数十人もの死者が出ている「重症熱性血小板減少症候群(SFTS)」と言った感染症が問題となっています。

 また冬と言えば毎年「インフルエンザ」が流行しますが、そもそも感染症と一口に言っても非常に多種多様で複雑です。ヒトに病気(感染症)を引き起こす微生物のことを「病原体」と呼んでいますが、この病原体にも実は様々な種類があります。大きなものから並べると、寄生虫・真菌・細菌・ウイルス・プリオンなどです。

 「寄生虫」といういわゆる「ムシ」の仲間の病原体は、目に見える大きさのものも多く、「サナダムシ」の一種の「広節裂頭条虫」などは10mもの長さに達し、ヒトの腸の中に寄生して下痢や腹痛、貧血を起こすことがあります。もともとは「ミジンコ」という小さな生物の体内で卵から幼虫となり、それを食べたサケやマスといった魚の中でさらに成長して感染型幼虫となります。その魚を生で食べたヒトなどのほ乳類の腸の中で成虫となり10mもの長さに成長します。ダイエットの目的で購入し自らサナダムシを摂取するなどという話を聞いたことがありますが、病原体を売買することは刑事罰の対象となる可能性もあり厳に慎みましょう。

 また最も多い寄生虫は「アニサキス」というサケやアジ、イカなどに寄生する寄生虫で2〜3cmほどの長さです。これらの魚介類を刺身などで食べて感染すると胃や腸の壁にアニサキスが潜り込み強い腹痛を引き起こします。ひどい場合には腸に穴を開けてしまうこともあります。たまに胃が痛い方の胃カメラをすると、胃の壁に白いアニサキスの虫体が食いついてプルプルと動いているのを発見することがあります。この様な時には鉗子(かんし)という道具でそっと虫をつかみ取ると、すっと腹痛が消えてしまいます。

 今でも案外多いシラミやギョウ虫症、つつが虫病なども一般によく知られた寄生虫による感染症です。また東京目黒には世界的にも珍しい「寄生虫館」という寄生虫専門の博物館があるそうです。興味(勇気?)のある方は是非訪れてみてください。

執筆
濵田 暁彦

1974年京都府宮津市生まれ。1993年宮津高校卒業。1年間浪人生活を京都駿台予備校で送り翌年京都大学医学部入学。2000年京都大学医学部卒業後、京都大学医学部附属病院内科研修を1年行う。2001年京都桂病院内科に研修医として赴任。2002年京都桂病院消化器内科医員となり、2007年同副医長。2010年故郷である丹後中央病院消化器内科部長として赴任。現在丹後中央病院消化器内科主任部長兼内視鏡室室長、他に京都大学医学部臨床講師(2015年〜)、宮津武田病院非常勤を務める。モットーは「楽な胃カメラ」「痛くない大腸カメラ」。早期癌の診断治療(拡大内視鏡・食道胃大腸ESD)、胆膵管内視鏡ERCP、超音波内視鏡EUS、EUS-FNA等が専門。機能性胃腸症:FDや過敏性腸症候群:IBS、便秘などで苦しむ患者さんの治療や、様々な不定愁訴に対しても西洋医学(総合内科)と漢方医学を融合させた医療を実践中。また老衰や認知症に伴う肺炎などの終末期患者さんの看取りや、各種がんの終末期緩和ケア&看取りをこれまで多くの患者さんに行い、安らかな最期を迎えられるようチーム医療で取り組んでいる。

所属学会・認定専門医
日本内科学会総合内科専門医、日本消化器病学会専門医、日本消化器内視鏡学会指導医・専門医、日本膵臓学会、日本胆道学会、日本臨床細胞学会、日本食道学会、日本肝臓学会、日本ヘリコバクター学会認定医、日本腹部救急医学会、日本時間生物学会、日本臨床腸内微生物学会、日本東洋医学会